〜 自分の内に吹いている 風の響きに耳を澄ます 〜

エッセイ「樹とあそぶ」

「樹とあそぶ」


樹とあそぶ



樹が好きで 森の中や道を歩いていると
ふと自分の心にふれる樹に出会います

あ‥という感じで

呼ばれることもあるし
こちらから見つけることもある

出会ったら まず眺めます

幹から枝から葉っぱ
葉の重なり合った陰
木漏れ日やシルエット

いいなぁ‥この樹

と思いながら眺めているうちに

触れたくなってきて
幹にそっとふれる

素敵やね‥

と心の中で語りかけながら触れていると

樹が揺れる

幹がゆらっと揺れることもあるし
枝や葉がざわざわと揺れることもある

喜んでる‥‥と感じる

嬉しくなって 嬉しい気持ちを
樹とそのまわりの空気や
光の中に放ちながらそこを離れる

落ち葉を踏む音

目の前にあらわれる細い枝をすっとなでる

頭の上を通りすぎる葉っぱの表裏を指でさすったり
枝をかるくゆさぶりながら歩く

よしよし‥

よしよし‥と言いながら
受け入れられている安心感もあり

そのどちらもが楽しく心地良い


よしよし‥

いいにおい




( 1995.11.27  )




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